「橙星」群青
自分が自分ではないとされる。「橙」の意味を「あなた」に託すー
全3巻の漫画作品。SFファンタジーです。
SFファンタジーっつってもSF部分は松葉(ロボット)ぐらいで後は魔女と王様と不思議少女のファンタジーがメインを占めますが、こういう構成も漫画らしくていいなと思います。
3巻で完結しています。早足ですがきちんと伏線も謎も回収されていると思う。
200年以上眠り続けていたロボット松葉が突然目を覚ました。そこには橙という少女と、橙と共に旅をする仲間たちがいた。橙は幼い頃に王様に捕らえられた少女たちのうちの一人で、プランツペットと呼ばれるうさぎのような玩具(自我がありちゃんと自立して動く)たちと共に、願いをかなえてくれるという4人の魔女を探して旅をしていた。
目覚めさせてくれた橙に惚れて、橙を守ると決めて勝手についてくる事にした松葉。
魔女に逢う度に少しずつ謎が足される。
橙とはそもそも「誰」なのか。
王様は何故少女たちをさらって塔に閉じ込めていたのか。
松葉は何故目を覚まし、200年以上経ってもまだ動き回れるのか。
ロボットだから人を護るという単純な話ではなく、かといって「ロボットだからって差別なんかしないわ!」という事でもない。松葉はロボットだからこそ意味があるというお話。
こういうロボ大好きです。アトムみたい。
「昔久街(なつかしまち)のロジオネ」夢花李
画面の美しさが素晴らしい作家さん。
漫画の短編集です。
表題の「昔久街のロジオネ」
ひとり暮らしの女子大生ヒメユカの所に突然やってきた少年ロジオネ。
「一丁目桔梗屋の姫様」
恋するやくざの跡継ぎ少女の数日間。
「僕のシャララ。」
未熟な魔法少年と普通の高校生の男の子の話。
「ROBOT」
近未来のお世話ロボットと蘇生を繰り返す少女の話。
どれも可愛らしいお話なのですが、ROBOTが一番好きです。
ロボットの青年は壊れる事もなくずっと、愛しい人が成長して死んでまた再生していくのを共にします。退廃した世界と、一瞬登場するとても頭の良さそうな少女。
大きなストーリーの一部分の様で、とても奥行きのある感じがします。
SF小説では描けない、女性作家さんの描く「漫画」ならではのロボ感がとても好きです。
あと、この作家さんの出身なのだと思いますが京都弁??みたいな話し方のキャラクターがよく出てくるのですがそれも好き。個性がありますね。方言っていいなぁ。