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読書感想ブログ

「あんじゅう」宮部みゆき

時代劇×怪談×宮部みゆきって凄い。

今回ご紹介するのはこちら

 すみません白状してしまうとこのシリーズで読んだのはこれ1冊だけなのです。

こちらは現在までに4作出ている「三島屋変調百物語シリーズ」の第2作に当たります。

道理で主人公の説明がさらっとしてるなーと思いました…(´Д`)

 

もともと読書量が少ない上にフィクションは更に殆ど読まないのですが、このあんじゅうは発売当初書店に並んでいたのを何となく手に取りパラパラと読み始めたら止まらなくなってしまい1日で読破してしまった、とても面白い作品でした。

4話構成となっており、話が区切られているのでとても600ページ近くあるとは思えないくらい読みやすかったです。

 

叔父の家で奉公している主人公のおちかが客からその身に起こった面妖な話を聞き纏めるという形で話が展開していきます。

  • 第一話「逃げ水」
  • 第二話「藪から千本」
  • 第三話「暗獣」
  • 第四話「吼える仏」

怪談ものではありますが、基本的にホラーホラーしていなくて、それはやはり語り手が過去形で話しているからでしょうか。物語はやや淡々と進んで行きます。

ただ、何というか日本の昔話にありそうな「山奥の小さな山村のしきたり」だとか「生きた人間の方が怖い」系のそら恐ろしさというか薄ら寒い感じが凄くて読んでいて映像が頭に浮かぶ様でした。特に「吼える仏」。考えようによっては一番救いがないというか…。

 

「吼える仏」語り手、行然坊(ぎょうねんぼう)

行然坊が若い頃の話として語られる。山道で怪我をした行然坊を助けてくれた小さな山村には習わしがあり、山を削って田圃を作っているお礼に大豊作の翌年には一つの家族分の田圃を休ませるしきたりだった。その1年間その家は米が収穫できなくなるわけだが、本来なら山の神さまの為に選ばれた人なのだから他の家々がその家族分の食事を用意して1年過ごす事になっているのだが…。

 

そして一番切なかったのは「暗獣」、この本のタイトルになっているあんじゅうですね。

なんていうかもう、読んでて涙が溢れるとか、こと浅薄ならぶさんには考えられない事が!(自分で言う

くろすけええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!・゜・(PД`q。)・゜・

ってなりました。

 

屋敷にいた暗獣「くろすけ」と心打ち解け合った新左衛門と内儀初音がくろすけを置いて屋敷を出る際に新左衛門がくろすけに話して聞かせた言葉もとても強く切ない。

別れる事になるけど最初に戻るわけじゃない。

出会う前と出会った後では孤独の意味が違う。と。

 

陳腐な言い方をすると、離れていても心は一緒、みたいな感じでしょうか…。

お内儀初音の気持ちがとても辛い。

 

毎回話を追うごとにメンバーが増えていくのも物語に厚みを増していて素晴らしい。

ああこれは全作読まなくては(;^ω^A

 

 ↓第1作目

おそろし 三島屋変調百物語事始 (角川文庫)
 

 

 ↓第3作

泣き童子 三島屋変調百物語参之続

泣き童子 三島屋変調百物語参之続

 

 

 ↓第4作

三鬼 三島屋変調百物語四之続