love2017’s blog

読書感想ブログ

「ほかほかのパン」太田浩一

旅×物理学×偉人伝エッセイ

ほかほかのパン (物理学者のいた街2)

ほかほかのパン (物理学者のいた街2)

 

このリンクを貼ろうとしてアマゾンの商品検索したらおいしそうな料理本と可愛い絵本がいっぱい出てきてお腹空く(笑)確かに絵本風味のタイトルですよね。

 

副題の通り「2」なのですが、何気なく手に取ってしまったので「1」は読んでませんすみません(またこのパターンか…)

 

歴史的発見をした物理学者の生家や足跡を辿る旅行記エッセイ(?)

モノクロだけど写真も沢山。そして著者が意外と物理学以外に関しての造詣が深くて凄い。

本人の中ではきちんとつながっているので読みやすいというか寧ろその人物に対する理解が深まる。そして、こうやって色々なアイディアや発想の転換が新しい法則を生み出す力になるとすると科学者には芸術的なものの見方があるのかもしれないと思った。

 

ちなみにタイトルのほかほかのパンとはエミー・ネーターの事。多分表紙の女性もネーターだと思う。ネーターについての人となりを想像するに、こういう人私の周りにもいるなぁと思いました。

がさつで、自分のやるべき事に一直線で、故にそれ以外の事(外見や食事など)を疎かにしがち。広い視野と理論的な考え方を持ち、持論を展開し意見の違うものと衝突する事もままあるが、そこには一切の悪意がない。「悪気はない」って言い張るような人と違ってね(笑)ネーターについてヴァイルが「彼女の心は悪意を知らなかった」と述べていたそうだが、事実そういう人って存在するんだよね。

彼女の生きた時代、男性であっても苦しかった筈の1930年頃のドイツ。女性だからというただそれだけの理由で教授になれず、のちに教授になるも最後まで無給であり、ナチスの脅威が迫るドイツからアメリカに渡りその後すぐ病でこの世を去った。想像する事も出来ないくらい大変な時代だっただろうが、この頃の物理化学の進歩は恐ろしく目覚ましく、以前紹介した本でも書かれていたが科学的に凄い時代でもあったんだよな。

 

love2017.hatenablog.com

物理の教科書のどこでネーターの名を見る事があるだろう。

ネーターに限らず、この本に出てくる物理学者たちは貢献度や発見した法則のすばらしさと認知度が合っていない人物が多いかもしれない。著者が公式を説明しだすと「ああ、それの人!」と思う事が多々あった。すみません…。

この本はそういった、現代の科学に欠かせない基礎となるものを発見もしくは発展させてきた科学者たちを「公式」や「法則」ではなく1人の人間として辿る旅行記である。