デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか ライアン・エイヴェント
色々と思考を刺激させられる書籍でした。
『デジタルエコノミーはいかにして道を誤るか』 ライアン・エイヴェント
現在はデジタル化の真っただ中であるがしかし中間点であり、旧態依然の働き方や考え方も残っているのが現状と言えよう。
そうした中で起きている、デジタル化による労働力余剰、富の一極化。
これらの問題がどう解決されていくべきかを論じています。
デジタル化時代の働き方、これから世界は経済的にどうなっていくのか。
そして自分はどうしたいのかを考えさせられる一冊でした。
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【個人的感想】
「今の富裕層の多くが過去からの遺産ではなく自ら財を成した人が多い為、富の再配分に抵抗を示される場合が多い」
「実際に彼らは労働に人一倍多くの時間をかけ人生を仕事に捧げてきた。だからこそ彼らはその富を得たのである。」
等々、丁寧に丁寧に一生懸命前置きしてはいながらも、本書の結論は
「でもビルゲイツの成功は彼が良い時代いい場所に産まれたからであって別の人でも良かったんだし~社会のおかげで成功したんだからビルゲイツの富は社会のものって言えるわけでぇ~それはみんなに分配されるべきじゃん?」
である。
言いたい事は判る…
ビルゲイツは一応この時代では一番生きて生きやすそうな「白人男性」だし。
でもそれさ…
自分に置き換えられたらどうよ!!!
自分が頑張って努力して寝る間も惜しんで働いて働いて働いて
文字通り命も削る勢いで築き上げた会社をさ。
「それはお前じゃなくても出来た事だし。お前が成功したのは社会のお蔭だし。だからお前の資産は社会の資産って言っても過言ではないんだよね?寄越せ!!」
って言われて自分が稼いだ資産を奪われたら!!
(勿論拒否すれば徹底的に非難されまくります)
実際、ビルゲイツは現在かなりの資産を社会貢献に役立てている訳で。
なんかさぁ…
自分の力で頑張って富を築いた人に対して「それは社会のお蔭。お前の功績ではないのだから寄越せ」って言う人を見ると、自分の資産も奪われる恐怖心が芽生えるんだよねぇ…
宝くじの当選者に突然増える謎の親族みたいな…
他人の富は俺のものみたいな…
これは自分が「富を再配分される側」として読むと、とてもわくわくする話なのではないでしょうか。というのが感想ですね。
私は自分の努力をちゃんと評価して欲しいタイプなのでえええーって感じる部分の方が多かったですが、実際は富を奪われる側より再配分される側の人(私を含め)の方が絶対に多い筈なので見方としては正しいっちゃ正しい。
『皮膚は「心」を持っていた!』山口創
当たり前のことだけど当たり前すぎて軽んじられがちな『皮膚は大切』っていう話。
皮膚は「心」を持っていた! 山口創 青春出版社
この本では、皮膚の臓器としての重要性はもとより、皮膚感覚は脳に近く、皮膚は感情に大きく関係しているという点にも注目されています。
著者によると、脳がなくても生きていける生物はいるが、皮膚が無くても生きていられる生物は存在しないのだそうだ。(確かに…!!)
第1章 皮膚は「第二の脳」だった!?
- 怒りっぽいのは「性格」のせいでは無かった!?
- 皮膚という「露出した脳」
・・・など、人体における皮膚の成り立ちと知られざる役割の説明。
第2章 感情は「皮膚」でつくられる
- 判断の決め手は理性ではなく皮膚感覚!?
- 孤独は心だけでなく体にも影響を与える
・・・など、実際に肌が感情(心)に与える影響。
3章以下で触れることで心が落ち着く仕組みとその実践方法。
母と子、部下と上司など、より良い関係性を構築する為のスキンシップの重要性と注意点を解説。
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【個人的感想】
昨今のコロナの影響で、テレワークやリモート飲み会など、完全な自粛状態が解除された後でも人と直接会わずに生活が出来る事が判ってきて、恐らく多くの人のパーソナルスペースに変化が出たのではないかなと思っています。
私はアトピーで元々皮膚が健全ではないため健常者とは皮膚感覚が違うかもしれないのですが、最近電車内などを見ると他の人もご自身の感覚を実感しだしているのかなという印象です。
好きな人と一緒に過ごせる時間がどれだけ大切で重要であるかを再認識すると同時に、関わりたくない人、触れたくない人との距離をより広く取りたくなる。
今まで満員電車でぎゅうぎゅうに詰められて1時間以上他人と肌を密着している状態を「当たり前」「仕方ない」「みんなもそう」と思って耐えてきたことを(テレワークなどにより)変えられるかもしれないという選択肢を得、更に空いてる時間での出勤を経験した事で結果的に満員電車への不快感をより強く感じるようになってしまった人もいるのではないでしょうか。
コロナでの自粛などの非日常は、自分にとって何が大切かという事を認識する時間となったような気がします。
この本はリモートではない人間関係の必要性はなにも経済活動の為だけではないのではないかという事を感じた1冊となりました。