「わたしと雨のふたりだけ」ジョアン・ライダー
絵本に美術的要素を多く求めがちならぶさんが好きな感じの絵本です。
ママが雨降るって言ってるのに昨日が雨だったから今日は晴れるわと理由にならない理由をつけて泳ぎに行って雨に降られる話( *´艸`)
それ以上でも以下でもない。
恐らく写真を基に描かれたであろう景色は写実的でありながらシンプルで、
少女もリアルな描写でありながら線1本で簡潔に描かれている。
絵本というのは不思議なもので、
例えば漫画や小説は、漫画から小説になったり小説から漫画になったり
はたまた映画になったりミュージカルになったりするじゃないですか。
けれども絵本はそういう事はあまりなく(有名な何作か例外はありますが)
確かに単純にページ数が少ないだけっていう事もありますが、絵本のジャンルの中にはなんといいますか、純粋に「読み手(特に子供)の感性を刺激する事に重点を置かれて書かれた」本があるように感じます。
確かに絵本には「これはなんでしょう?」「いくつあるかな?」みたいな知育絵本も多いしストーリーに道徳的な意味あいを盛り込むことも多いと思う。
けれども今回紹介しているこの本に関しては、そういった視点が一切ない。
只管純粋に天真爛漫で自然が大好きな少女が雨に打たれてはしゃいでる話。
私はこのジャンルの絵本が大好きだけど、あからさまにテーマを押し付けて来ない分、文章と絵の両方に相当の技量を求められるのではないかと思う。
その点この作品は、綺麗な風景を眺める様に、その風景に溶け込む主人公を見守るように、瞬間の情景を切り取っている。
とてもシンプルで、これは映画でも漫画でも小説でもなく、絵本だからこそ一番美しく描き出されたストーリーなのではないかなと感じる作品になっています。