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読書感想ブログ

『三鬼』宮部みゆき

読み応え増し増しの三島屋変調百物語四之続

 

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三鬼~三島屋変調百物語四之続~ 宮部みゆき 

三島屋シリーズの第4弾です。

訳あって親戚の家に奉公中の主人公おちかが聞き手となり、来訪者の不思議な話を聞く形で物語は進行します。

 

基本的に一話完結ではあるのですが、百物語の場面以外で、以前語り部として登場した人がちょいちょい出てくるので全体としてはつながっている。

そしておそらく、もしこのシリーズに結末があるのなら、主人公おちか一人ではなく他の出演者の人生にも大いに関わってくるのではないかと予測しています。

 

今回の掲載話は

です。

以下感想

 

第一話・迷いの旅籠

旅の絵師の計らいで、死んだ村人がある建物に戻って来た話。

絵師が言うには「恐ろしい姿で生きた人間を呪うのは、死者のある部分だけで、本来は普通の生きていた頃のままの姿である筈だ。」という事で、旅籠に戻って来た死人たちは生前の頃と全く変わらない姿だった。

 

しかし実際はどうなんだろうと。

亡者となった御隠居様は物語の始まる前にも生前の家に現れては奇怪な姿で家人を怖がらせていて、それが本来の姿とまでは言わないが、死して尚伝えたい事がある人の意思が肉体という物質的な形から解放されたら、やはり生きている人間が望むような姿でい続ける事はないのかなと。

 

裏返せばそれは、逝ってしまった愛する者をこの世に呼び戻したいと願う人びとは、ここにも、そこにも、どこにでもいるという悲しい真実を示してはいないだろうか。『迷いの旅籠』より

 

怖い感じはあまりしないんだけど、実際繋いではいけない場所を繋ぐ扉を開けてしまったんじゃないかという意味ではかなりまずい事をした気がするし、その後色々問題が起きそうな気配もする、この村。

 

第二話・食客ひだる神

ひだる神っていうのは旅の途中で行き倒れて死んだ人の霊があやかしになった時の名前だそうです。

 

という事でこのお話は食べ物についてのくだりが結構あって楽しいです。

ひだる神さんへの愛着は2巻のあんじゅう・くろすけに通じるものがある。

あっちは元々のあやかしで、こっちは人間の幽霊(?)という違いはありますが。

 

とても良い話。そしてやはりちょっと切ない。

語り部の人の良さ、ひだる神とのやりとり、その後の人生。

何度読み返してもちょっと泣ける。

 

第三話・三鬼

これは「生きた人間が一番怖い」って奴かな…。

妹に筆舌に尽くし難い酷い行いをした男を斬った罪で山村の山番を命じられた男が見た鬼の話。

 

スピード感溢れる展開。

そしてサムライらしい覚悟。

 村人もみんな生きるのに必死で。

 

しかしあれは本当に鬼だったのだろうか。

 

いや、欣吉の言う「第三の村」があるという仮説はともかくとして、村の狼煙に応えて村に現れ、欣吉や清左衛門の方を見やり、利三郎と清左衛門の追求を受けて走る(人間の様に)

 

国にくすぶっている念の集まりにしては姿かたちがしっかりしすぎてやしないか。

その異様さ、不気味さがこの話の一番恐ろしいところなのかなと思いました。

 

第四話・おくらさま

ブスって悲しい。

いや、この話は美人が酷い目に遭わされたって話だけどさ。

 

でもなんか、ブスの被害妄想というかブスの美人に対する僻みというか。

そして実際に周囲からの、美人とブスの扱いの差も現実のものとしてしっかりと存在するわけで。

 

ブスが劣等感を拗らせると酷い事になるよって話…としか言いようがない…。

お梅さんの言う通りだよ…。護ってなんかいない。

ざまをみろ!!!!って、ブスのガチの心の叫びやんか…(わかりみが深い)

 

今回は今までちょくちょく関わってきた関係者が一人去り、新たな強者が一人加わります。

瓢箪古堂さん可愛いなぁ。こういう人いたら良いなぁ。

ていうか瓢箪古堂さんの描かれ方がとても丁寧で、この先重要な役を担ってくるのかなという印象を持ちました。

 

あ、従兄弟の兄さん(富次郎)も来たから二人か。

 

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