『くよくよマネジメント』津村記久子
くよくよだけどネガティブじゃない。
こんなにバランスのとれた「くよくよする人」を見た事がない(褒めてます)
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『くよくよマネジメント』津村記久子 清流出版
単純に言ってしまえば「エッセイ集」ですが、タイトルの通り全編にわたりしっかりと「くよくよ」を「マネジメント」しようという作者の試みが記されています。
それは「くよくよする自分」を、無理矢理押し殺したりポジティブを演じたりする事なく文字通り「マネジメント」しようという挑戦。
・よく悩んだりする「くよくよ」の反対って、なんでも言っちゃう「サバサバ系」だと思うけど、大きい声で他者の言動を封じ込める「何でも言う」って本当に言う必要あるのだろうか。『くよくよしていい』
・おしゃべりはただだと思って自分の話したい事を延々話す人もいるけど、聞き上手でいつも労わってくれる優しい人をもっと大切にしたい。『優しい人にこそ負担をかけないために』
・「あなたのため」と言いながら猛烈な批判をされても悲しまなくていい。相手は不安で怯えているだけなのかもしれないから。『あなたのためにと言う前に』
など、思いやりがあって優しくて苦しみを笑顔で抱え込んでしまったり、くよくよしがちな自分を否定したり落ち込んだりしがちな人は是非読んでみて下さい。
心が軽くなり、自分のくよくよを大切にマネジメントするヒントがちりばめられています。
【個人的感想】
一番初めの「くよくよしてもいい」を読んですぐ、全部読もう!!!と思いました。
こんなに(私のような)ニッチな気持ち(の人)に寄り添って書かれた文章は見た事がないと感動しました。
特に「明日の自分を接待する」が本当に衝撃でした。
私は休日、朝からぐったりしてしまい一通りの家事をこなすのさえ億劫になってしまう事すらあるのですが、この本の「明日の自分を接待する」の部分を読んで凄いアイデアだなと思いました。
やるべき事を「自分事」だと思ってしまうと「どうせ明日やればいいし」的な考えになってしまいますが、「明日の自分」を「間抜けで文句言いの疲れた客」と見なして「あー、これ明日に回すとまたあの客(自分)文句言うわ」と考えると不思議と「文句言われる前にやっとこ」と動けるという事に気づきました。
こうやって自分の機嫌を取って自分がめんどくさくない様に自分で手配するというのは、明日の自分を楽する為に、今日の自分で出来る事は全部やっておくという考えだと思うのですが、この著者はそれを押しつけがましくなく命令口調でも教育的でもなく自然と読み手に「なるほどねぇ!」と思わせる優しい力強さがありました。